雨はずっと降り続いている

日記と備忘録。

目を閉じてはいけない

 

今年も、この日がやってきた、3.11。

 

もう10年前のことで、私の目の前にいるこの子たちは、生まれる前のことだという事実に驚かされる。

 

毎年、必ず3.11の話をして、子どもたち黙祷する。なぜ黙祷をするのか、どんなことがあったのか伝え、黙祷をするのだ。

 

でも私は、10年間、一度も黙祷ができたことはなかった。

 

目を閉じてはいけない気がするのだ。

 

 

10年前、初めて津波を体験して、何もわからなくて、ただ怖くて目をつぶった。

 

目を開けたら、流されていく家、流れていく木材で埋め尽くされ、もはや茶色のような黒のような波。

見えなかったけど、あの中に人もいるだろうということは容易に想像できた。

 

 

 

 

私の中学校では、憧れている先輩の名札をもらうのが卒業式後の恒例行事だった。

私も、なかなか部活に馴染めなかった頃、優しく話しかけてくれた先輩の名札をもらった。それは、自宅の机の中に大事にしまってあった。

 

そのS先輩のことを、あの波は攫っていってしまった。

私の中では、それは、10年たった今でも信じられていない。

S先輩が亡くなったというのは、誤った情報で、今はどこかで働いていると信じている自分がいるのだ。

 

 

 

3月なのに雪の降ったあの日、どんよりと重い曇りだったあの日。

 

目を閉じずに、現実を両目で見ればよかった。

 

 

あの先輩も、生きていて欲しかった。

 

 

お祭り練習でとびきりお茶目だったブティックのおばちゃんも高台に逃げて欲しかった。

 

 

ガソリンスタンドのお姉さんも、すぐ上の山に登って欲しかった。

 

 

津波なんて来ないで欲しかった。

 

 

 

 

 

黙祷もできず、震災関連の情報をシャットアウトしている私は、何か欠落しているのか。

 

 

「震災を風化させない」

なんて綺麗事だと思う。

 

もちろん、

未曾有の災害が起こり、たくさんの被害を受けた人たちがいるという事実は忘れてはいけない。

 

でも、

私が震災を忘れたいと願う気持ちは、悪いことなのだろうか。

 

何年経っても思うのは、

海は今日も綺麗で、穏やかだということだけだ。

 

3月11日、

実家を出てからはたった一度も、この日に岩手へ帰ったことはない。

 

私はいつか忘れて、前を向いて進むのだ。

 

 

そんな日が来ることと、地元大船渡市の復興を願っている。

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妹の卒業制作です。

たくさんの人にご覧になっていただけると嬉しいです。

 

https://kano-lab.org/students/research311/

 

私が昨年書いたブログです。

ここに出てくる妹が、上記のサイトを作りました。

 

https://katoupan.hatenablog.com/entry/2020/03/10/215551